鮎釣り師ガバチャのひとり言

釣りあげた鮎で仲間と酒を飲む   これ人生のユートピア!


    ガバチャのアホなお話

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     ファッションにはTPOがある。天才バカボンのように浴衣に運動靴を履いていたら笑われるだろう。

     だが、去年の冬その天才バカボンのパパにしてやられた。ドンキホーテで買ったバカボンパパのジャージにだ。

     インフルエンザ並みにきついウイルス性腸炎でうなされ、意識もうろう状態でそこいらにあるものを着て医者に向かった。体温を計ると39度メラメラ うわーと顔をしかめる看護婦さん。ふらつくボクにお年寄りたちも驚いている。

     が、なんとなく。なんとなくだが、ちょっと笑ってるような気配を感じる。お年寄り達もヒョエヒョエとボクを見て。診察の女医先生もクスクスッと。
     帰り、看護婦さんから薬をもらって背を向けたら「ガバチャさんお大事に~」の語尾がヒョエッとしゃくっている。

     なんだよ人の不幸を、と思っても怒る元気もない。
     ふらふらと家に帰り着き洗面所でうがいをしていて気がついた。

     「あ、なんやこれぇ」よりによってバカボンパパのジャージ着て行ったんかえっ

     写真のとおり、背中にはデッカク「これでいいのだ」と書かれてある。いいわけはない。39度でゆでだこみたいにふらふらしてんのに、これでいいわけないんだよ! と、ジャージを脱ぎ捨てたが、やっぱり「これでいいのだ」と広がってしまった。

     ガバチャも天才一家にはかなわない。バァーカボンボン音譜







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     指折り数えたらわずか7年前のことだ。
     若いのに調べ物をさせたらネットで探したと言う。ネットってなに? と訊くとパソコンですと答える。なんだ、最近はパソコンのことをネットと言うのか、とその若者に速攻レクしてもらい幹部会議に走り込んだ。

     渡された印刷どおりに説明。
     なかなか詳しいじゃないか、と皆から言われエッヘン状態。
     で、何で調べたのかね? と訊かれ、YAHOO!を・・・・・・ヤッホーです、と読んだ。

    「ヤッホー? なんだねそれは」と幹部。
    「ソフトの、あ、いやプログラムの名前です。あのヤッホ~(口に手を添えて)みたいな感じで調べたら直ぐに返ってきます。打てば響くみたいに。へへ」とボク。

    「な、なるほど」と幹部。
    「別名、検索・・サッチーとも言います」(確かさっきあいつがそんなこと言ってたな)
    「検索サッチー?」
    「ええ」
     と言いつつも、森田健作とサッチーが一緒になったみたいな変な名前で、やっぱ検索サーチンだったか? と思い直したが、そっちの方がもっと変だと思い、まぁだいたい当たっていればいいかと言語明瞭意味不明で突っ走った。

     ネットのサッチーのヤッホーでと、口角泡を飛ばし会議は終わった。
     ボクの株は上がった、かに見えた。

     職場に戻ってありがとう、と同じことを言ったら若い連中が爆笑する
    にひひ マジッすか? と、すかがついたら敬語らしい。マジも魔女もあるか、あたりき車力のヤッホーよ。とやったら、ヤフーですよと笑うにひひ
     覆水盆に返らず。

    「や・やぁふぅ~って・・・・・・そんな間の抜けた呼び方はないっ。ヤッホーでいい。歩くグローバルスタンダードとはこのオレだ!」と啖呵を切ったが、世界が許してくれなかった。
     YAHOO! はやっぱりヤフーだむっ

     くしょー、ヤッフ~でどうだ、と折衷案を模索した。が、これ以上意地を張ると職場の隠居部屋にぶち込まれるので観念した。

     後日、ヤッホーよりグルグルGoogleの方がくわしいぞぉ! と息巻く同輩を見て、上には上がいるものだと思った。




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     若い頃はクロコダエルなど胸にブランドマークのある服をよく着ていた。結婚したらどうでもよくなって、スーパーの980円トレーナーなどにしていた。
     子育てで目の回る毎日、子供がザリガニをほしがったので飼うことにした。小さな水槽に2、3匹だったと思うが、子供がうれしがって割り箸などでつっついていたのは覚えている。

     その出来事のあった朝もボクは子供二人を自転車の前後に乗せて保育所に向かった。いつもどおり先生が笑顔で子供を迎えてくれる。
     子供の肩に手を置いてしゃがむ先生。その笑顔がスーッと消える。視線がボクの左胸のところでピタリととまった。

    「あらぁ、それなんですのん?」
     といぶかしげに先生。やおら鼻先を近づけるなりビッ、ビェ~と悲鳴を上げた。

    「な、なんすか」とボクも胸元に視線を落とした。
    変なものがトレーナーの胸ついている目

     手のひらで鼻を押さえて顔をゆがめる先生。
     よく見るとハサミを上げたエビがついている。立体なのでブランドマークではない。

    「ははっ、最近エビ食べたっけぇ」
     とひとり言を言って、ボクはその殻をピンッと指ではじき飛ばした。ら先生、キャアと短い悲鳴をあげて逃げていった走る人


     晩、帰宅したらザリガニがいない!えっ

     現場検証の結果、朝はじき飛ばしたブツはザリガニさまと判明。
     水槽から割り箸をつたって逃亡したザリガニは床に投げ散らかされた洗濯物に潜伏。その後洗濯機にかけられ乾燥機にかけられ、翌朝980円トレーナーのブランドマークになったのである。

     哀れザリガニさま。

     その後ザリガニのいなくなった水槽には小亀が入れられたのだが、小亀のブランドマークだけは絶対にほしくないと思った。





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     早春に桃の花を見ると思い出す。
     小学校の卒業式を。
     
     桃の花、匂う三月、おなごりはつきません・・・・・・。
     ボクの小学校では卒業式で六年生を送る言葉を、下級生が台詞をつないでやっていた。
     
     ボクの台詞は「おなごりはつきません」のところだった。
     練習の時ちゃんと聞いていなくて、どんなんやったっけーと「おらげりはつきません」とか適当に言ったら、ブー教頭から「こらぁオナゴリ、ちゃんと言わんかぁ!」とドス声で叱られたガーン
     ボクはオナゴリと呼ばれ何度も練習させられた。

    「声が小さーい」と言われたので、快活に「おなごりはつきませーん!」と大声でやったら「そんなに元気に言う言葉じゃなーい」とブー教頭がまた怒鳴る。
     ボクはブー教頭に恐る恐る聞いてみた。

    「あのぉオナゴリってどんな意味ですか?」
     ブー教頭は目を剥いて「ええ、意味ぃ、ん~意味はなぁ・・・・・・おい、誰か教えたったれ」と周りにいた先生に振った。

     先生の1人が「えーと、別れは悲しいけど悲しそうに別れないことだよ」とか言って自分で首をかしげていた。子供のボクにはやっぱりよく分からなかったが、コワイ上級生がいなくなって嬉しいだけなのになんだと思った。

     翌年、ボクたちが送られる時、オナゴリに当たった下級生がブー教頭に同じようにいじりたおされていた。

     あんなの、小学生の使う言葉じゃない。
     そんなあの頃に、おなごりはつきましぇ~ん
    べーっだ!




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     鮎釣り師はオフになると暇ですることがない。
     家内は一人で買い物に行ってしまったし、たまにはひとりで映画でも行ってみるか。
     と、身支度をととのえた。

     映画館はすぐ暗くなるのでちょっとぐらい派手でもいいかと、息子のキャラクターグッズのセーターを拝借。ジーパンに赤い野球帽を被ってさっそうと家を出た。

     映画館に到着。
     受付嬢が一般でよろしいですかと微笑む。
     ええ、とうなずきながらもそこまで若く見られたかとムフフ状態。

     映画には一般と小人しかない。つまりボクが小人かもしれないと思われた証拠。
     先祖代々小型のDNAを受け継いできたガバチャ家。でもいくら小型だからって小人あつかいは若すぎるぜ。ま、我がハートには小型じゃなく大型(O型)の血が脈々と流れておるのじゃがな。などとくだらないことを考えていたら「会員様の場合お一人1400円となってございます」と受付嬢が言う。

    「あっ会員会員、会員様で~す」
     と財布から会員カードと1000円札を2枚取り出して渡した。

     受付嬢がレジみたいなのをぴぴぴと打って、おつり600円と会員カードとレシートを返してくる。
     ん? ふと見るとレシートには豚肉、ネギ、豆腐などと打たれているではないか。

     どんな映画だと思って「これってなんの映画よ? ボク沈まぬ太陽みたいんやけど」と豚肉などとうたれたレシートを受付嬢に返した。
     と、受付嬢ニッコリ。

    「それいただいた2000円にはさまっておりました」
    「へっ」えっ
     確かに、昨日豚鍋をするための食材をオークワに自分が買いに行った。
     そのレシートだったのか。

     とっさに「レシートいいです」と返そうとしたが、そんなやりとりをする窓口でも無かろう思い「あっ、やっぱもらっときまーす」などと見当違いな返事をして財布の中にしまい込んだ。

     表情を変えなかった受付嬢も、続けて映画のチケットを渡すときには我慢しきれなかったのか、ボクの顔を見てぶぶっと吹き出した。

     沈まぬ太陽のように燦々と輝く美少年に見間違われたのもつかの間、ただの所帯じみた半ボケおやじへと落ちたボク。

     ま、いつものパターンではあるけれど、となんだか太陽が沈んじまったような気分になってテコテコと館内の暗闇へと消えていったのであります
    むっ





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