鮎釣り師はオフになると暇ですることがない。
 家内は一人で買い物に行ってしまったし、たまにはひとりで映画でも行ってみるか。
 と、身支度をととのえた。

 映画館はすぐ暗くなるのでちょっとぐらい派手でもいいかと、息子のキャラクターグッズのセーターを拝借。ジーパンに赤い野球帽を被ってさっそうと家を出た。

 映画館に到着。
 受付嬢が一般でよろしいですかと微笑む。
 ええ、とうなずきながらもそこまで若く見られたかとムフフ状態。

 映画には一般と小人しかない。つまりボクが小人かもしれないと思われた証拠。
 先祖代々小型のDNAを受け継いできたガバチャ家。でもいくら小型だからって小人あつかいは若すぎるぜ。ま、我がハートには小型じゃなく大型(O型)の血が脈々と流れておるのじゃがな。などとくだらないことを考えていたら「会員様の場合お一人1400円となってございます」と受付嬢が言う。

「あっ会員会員、会員様で~す」
 と財布から会員カードと1000円札を2枚取り出して渡した。

 受付嬢がレジみたいなのをぴぴぴと打って、おつり600円と会員カードとレシートを返してくる。
 ん? ふと見るとレシートには豚肉、ネギ、豆腐などと打たれているではないか。

 どんな映画だと思って「これってなんの映画よ? ボク沈まぬ太陽みたいんやけど」と豚肉などとうたれたレシートを受付嬢に返した。
 と、受付嬢ニッコリ。

「それいただいた2000円にはさまっておりました」
「へっ」えっ
 確かに、昨日豚鍋をするための食材をオークワに自分が買いに行った。
 そのレシートだったのか。

 とっさに「レシートいいです」と返そうとしたが、そんなやりとりをする窓口でも無かろう思い「あっ、やっぱもらっときまーす」などと見当違いな返事をして財布の中にしまい込んだ。

 表情を変えなかった受付嬢も、続けて映画のチケットを渡すときには我慢しきれなかったのか、ボクの顔を見てぶぶっと吹き出した。

 沈まぬ太陽のように燦々と輝く美少年に見間違われたのもつかの間、ただの所帯じみた半ボケおやじへと落ちたボク。

 ま、いつものパターンではあるけれど、となんだか太陽が沈んじまったような気分になってテコテコと館内の暗闇へと消えていったのであります
むっ





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