鮎釣り師ガバチャのひとり言

釣りあげた鮎で仲間と酒を飲む   これ人生のユートピア!


    ガバチャのエッセイ

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     今朝方の夢に、驚いた。
     前後は覚えていないがベンチに腰掛けている女性に声をかけたらハツミだと答える。ええっ、あのハツミが・・・大人のハツミになっている。

     それは霞んだ遠い日の記憶。
     ハツミとは、ボクが小学校一年か二年の頃に近所にいた同級生だ。
     ボクら男の子の腕をねじっては泣かせてしまうほどのおてんば。事情はわからないがすぐにどこかに行ってしまった。

     不思議だな、なんで今頃ハツミなんだろう。
     夢とは日常の体験や思い浮かべていることが出てくるのではないのか。ハツミのことなどとんと思い返した記憶もない。

     夢の中で名字まではっきり言われたのだが、目が覚めたら思い出せない。それも記憶の引き出しを開けきれてないだけでちゃんと残っているのかもしれないが。

     ふと、自己を司る記憶の総体を見てみたいと思った。が、自力のなせる業でもあるまいし、それに・・・一度にすべてみたら気がふれてしまうかもしれない。

     ボクだけのランダムメモリー、それは毎夜夢の中で気まぐれに開かれているのだろうか。 
     そして、そうだな、ボクも誰かの夢に突然現れたりしているのかもしれない。鮎釣り師になる前のまだあどけないボクなんかになってひょっこりとね。

     ははは・・他人(ひと)の記憶の中に生き続けるというのも悪くないよ。
     仮想現実な関係は気楽でいい。

     ハツミが今どこでどうしているのかはわからないが、これでボクの記憶の片隅から消えることは一生ない、つまりボクが生きてる間ハツミも生き続けてるっていうこと。
     そう、そんな記憶を宝物のようにひとつひとつ大切にしたいと思うよ。


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     昨年徳島市の勝浦川で鮎釣りをした時の記事です。

     徳島市内に流れ込む勝浦川はボクの鮎釣りの原点です。
     20年前、神戸から徳島に転勤して家族4人で木造の古い社宅に入り、四年間暮らしました。子供はまだ二人とも保育園。その徳島時代にお祖父さんから鮎釣りを教わり、初めて自分1人で釣行した川が勝浦川でした。

     徳島市内から半時間ほどで釣り場に到達できるきれいな川。
     デビューは、一匹も掛けることが出来なかったことをハッキリと覚えてます。

     実は当時家内との夫婦仲が最悪で、ボクは6月末にもらったボーナスをもって逃亡しました。もうどうなってもええわ、と言うステバチな気持ちで街をさまよって、釣具店の看板が見えたとき「そうや」と思いました。

     自分の働いた金で好きなものを買ってなにが悪い、と。
     その頃ボクのボーナスからの小遣いは五万円で、これも少ないといつもケンカのネタになってました。

     ボクはボーナス袋から金をがばっと取り出し、鮎竿からタイツまで一式15万円ほどを使いこんでしまいました。
     盗っ人猛々しいと言う言葉がありますが、正直気分が晴れました。

     このまま数日どこかの川に行って鮎を釣ろう。
     ボクはその釣具店のオヤジに訊きました。

    「どこの川が釣れていますか?」
    「今年は勝浦川がよう釣れとんじょ」
     よし勝浦川に行ってみよう。そこで今晩寝て、後のことはその後で考えたらいい。と勝手気ままに車を走らせました。
     ところが日が暮れたら急に意気地がなくなって、真夜中になって帰宅。

     もう午前2時ぐらいなのに家には灯がともり家内は起きてました。
     ボクはバツの悪そうな顔で「これ」とだけ言ってボーナス袋を渡しました。

     家内が中身を確かめると疲れた目で「なんに使った?」と訊きます。
     ボクは「鮎釣りの道具」とだけ答えました。

    「あんた鮎釣りやってた?」と家内。
    「これから・・・やる」とボクは視線を外しました。

     家内は大きなため息だけつくと黙って寝室に向かいました。
     ボクは時間をおいて家内と子供らがざこ寝する布団にそっと入りました。

     次男が眠ったままボクにしがみついてきます。
     寝苦しいほど蒸し暑いのに、ボクは次男を抱いたまま眠りこけてしまいました。

     この頃は自分でもひどかったなと思います。精神的にもグラグラしてた綱渡りの時期。 まぁよくも転落しなかったものだと思います。

     その後、休みごとに勝浦川に鮎釣りに行きました。
     時には子供を連れて泳がせながら釣りました。
     いつも2、3匹で10匹も釣れたら大漁で大喜び。

     でも家内はボクの釣った鮎を食べてはくれませんでした。
     今もです。
     家内は「ただ鮎が好きでないだけ」と言いますが・・・。

     そんなことを思い出しながらボクは勝浦川へと向かってみました。
     その頃よく通った堰堤に行ってみよう、と。
     18年ぶりでした。
     さすがに川相は変わっていましたが堰堤や大きな石はそのままです。

     あの時鼻カンもろくに通せなかったのに、とボクはおとり鮎に素早く鼻カンを通し瀬に送り込みました。と、いきなりダダンガンガンッ! と強烈なアタリ。

     野鮎に竿をのされたボクは必死で下に走ります。滑ってつまずいて、尻餅をついて這ったまま竿を立ててずぶ濡れで耐えました。ものすごい引きです。

     やっと取り込んだのは24センチのでっぷりした鮎。ボクは真っ青な空を向いてウホォーッと奇声を上げると川にへちゃりこみました。

     対岸には一面黄色のひまわり畑。そこにカブのおじさんが乗り付けて「釣れとるかぁ」と声を上げます。「今でかいのが来た」と返してボクは手を振りました。

     息が切れてます。
     熱波で景色が茹だってゆがみました。

     いつの間に18年も経ったのだろうか・・・。
     胡蝶の夢とは、よく言ったものです。

     ボクは沸き上がる入道雲を遠望しながらゆっくりと立ち上がると、足下を確かめながらまた上流のポイントへと足を進めました。


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     徳島の立ち食いうどんで勘定を小銭で払った時に、「ちゃんとあったかな?」と確認したら店主が数えながら「あるでないで」と返事を返す。
     ボクはあったのかなかったのかわからずもう一度訊いた。

    「だから、あるでないで」と店主は平然と答える。
     あるでないでは、ありますよと言う意味だった。無いときは「ないでないで」なので大変よく分かる。

     徳島でゴルフコースに出た時、こんなプレー速度でいいのかなーと思って徳島の人に訊いてみたら、「かんまん、かんまん」と言う。ボクはもっと「緩慢」にゆっくりやれと言われたと思い、じっくりとプレーしていたら「もっと早よやれっ」と皆から叱られたえっ
     かんまんとは、かまいませんそれでよろしいですよと言う意味だった。

     徳島の朝市によく行った。並べられた魚を囲んで「えっとぶり、えっとぶり」という声が交わされる。
     魚のブリの種類かと思って、どんなブリですかと訊いたら「久しぶり」だと答える。ひさしブリ? ははっ、ボクはシャレだと思って笑った。
     後で、徳島が久しぶりをえっとぶりということを知った。

     難波から和歌山への南海電車で、「ほなけんなー」と言っている人は100パーセント南海フェリーに乗って徳島を目指す。徳島弁の最もメジャーな接続詞、「ほなけんなー」を覚えれば、徳島県人の仲間入りをほぼ手中に収めたと言っていい。

     徳島弁は全体丸みがあって柔らかい。特に女性が使うと、ハートをわしづかみにされるような魅惑がある。そしてまた叱られるときも徳島(の女性)の方がいい。

     高知や和歌山ではきつすぎて身が持たんのじょ~、と思う。・・だろべーっだ!




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     高知に「のうが悪い」と言う言葉がある。「具合が悪い」「使い勝手が悪い」と言う意味だ。他県には絶対通じない。

     高知のゴルフ場で。折れた傘の柄を持ちにくそうにして一緒にプレーしていた県外人に「おまん、のうが悪いろ」と高知人が言った。

    「君、その傘は使い勝手が悪いだろう」と言う意味だが「君、脳が悪いだろう」と県外人の耳に刺さった。スコアの上がらない県外人がマントヒヒプンプンのように赤面してマジ切れたという。

     高知県人は言葉を略さない。ちゃんと一つ一つのひらがなを押すように発音する。
     携帯をケータイとは言わない、ケイタイとしっかり発音する。兵隊をヘータイと言わないヘイタイと言う。

     近代、丁寧に発音する高知人は政府から認められ国語の先生として東北地方などに赴いたという。
     東北弁は「しかたがないでしょう」を「んがね」、「そうでしょう」を「だす」と言う。 極寒だと悠長にしゃべってらんねえ。そんな気候が単語ならぬ短語を生み出したのだろう。ボクは、端的なのに情緒がすうっと染み入る東北弁が好きだ。

     東北弁に限らずその土地どちの言葉があっていい。標準語など大きなお節介だ。

     なまじ言い方で持ち上げられた高知人は、胸を張って議論好きになったという。
     酒を片手に、犬と猫のどちらが賢いかを朝まで言い争う得意げ 内容は問題ではない。ありったけの知恵とボキャブラリーを出し尽くすことに意義がある。

     どんなに言い争っても前には太平洋、後ろには四国山脈しかない。とことん言い合える条件はそろっている。

     やっぱり、オラァ、そんな高知県人中の高知県人ながやと思うがぜす。




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     和歌山で勤めていた時、職場のフェンスに暴走族風の車がつっこんだ。警察が来て「てきゃ、てきゃ」と現場検証をする。敵ゃ、とはかなり敵対してるなと思ったら「てきゃ」は彼と言う意味の三人称単数であった。
     和歌山の彼は敵味方関係なく「てきゃ」である。

     仕事で現場監督に出ると、厳つい土木作業員が仕上がったコンクリートの壁を見て「美しい」とだみ声を上げる。仕事が終わって、汚れた長靴をタワシで洗ってもひげ面のおっさんらは「美しい」とだみ声を連発する。

     美しいの適応範囲が広く違和感を持ったが、これが最上級になると「がいに」が付く。「がいに、美しいやして~」と和服のママさんがカウンターの隅に置かれた花束をうっとり愛でるガーン 最上級は微妙~だと思った。

     職場レクでおでんを作っていたら空だきになるほど煮すぎてしまった。
     先輩が蓋を取って「あかな、こりゃあ、けつけつにもじけてしもうちゃあら」と水を足す。 

     ぜんぜんはデンデンと発音する。職場の女性が相手先に電話がつながらず「デンデン出ん」とぼやく。パチンコ屋で「どうや?」と訊いたら「デンデン」とそっけなく答える。この場合は「全然」でも「出ん出ん」でも話が通る。

     銅像はドウドウだ。
     もし、堂々たる象の銅像があったら、ドウドウたるドウのドウドウとなる。

     居るをあると言う。これが一番驚いた。
     在宅の確認を「おとうさんあるか?」「ないわ」とやられる。

     まあいい、明日にでも粗大ゴミに出されそうな自分には和歌山弁で正解だ
    むっ




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