鮎釣り師ガバチャのひとり言

釣りあげた鮎で仲間と酒を飲む   これ人生のユートピア!


    ガバチャのエッセイ

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     人は自分の思っていることを相手に正確に伝えることができない、ときがある。
     そればかりか、全く逆の意として伝えてしまうことだってある。

     伝えたい人に伝えたいときだけ、自分の真意を質と量で現せられるのならどんなに便利だろう。心の中からその真意をちょいと取り出して、ほらって見せられたのなら。

     懐かしい人にあって、そう思った。
     いきちがいの多い思春期に、とびっきりの思い出として残っている大切な人に会って。

     でも、まさかあのときと同じ局面になるとは思いもしなかった。
     つまりボクもその人も変わっていなかったということ。未だに袋小路なんて奇跡だよ、って笑いかけたら妙にシリアスな空気が鈍器のように振り下ろされた。

     輪郭しか思い出せない、そんな人から今頃になって残酷なストーリーを突きつけられるなんて覚悟していなかった。

     不意打ちかい、ってひとり言をいって、イヤな思い出ならザッパリ裏切り捨ててほしい! と心の中で叫んだ。自分が理解されないのが、みっともないこととは比較にならないほどつらいもんだと痛んだ今日だけでも。

     確かにマッチいっぽんぐらいの温かさで袋小路から抜け出せるって、曲はあった。
     微睡みもせず石物のようにそんな曲を聴き続けたこともあった。

     ネットで探し出して久しぶりに聴いてみる。
     やはり、みぞおちのあたりに弾きかかるピアノの旋律は、ただ自虐心をあおるだけで悲しい曲だ。

     いや・・・・・・、そうでもないか。
     なんだろう、この不思議に素直さが揺れ戻ってくるような感覚は。

     マッチいっぽんぐらいでホントにいいのか?
     絶対ムリだと思わない方がいいのか?

     袋小路で出られないのが、つながっていて「いつか」を得られるプロセスだと信じるべき、と正解させていけるのか?

     何故か、その方が直ちに最良の方法を模索するよりも自分らしい、とこの曲を聴くうち傾き始めた。

     袋小路もまんざらではない、とね。






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     ボクはひとり旅がすきだ。
     それはつげ義春の漫画やフーテンの寅さんの映画の影響を多分に受けているからにちがいない。

     どちらも主人公が自由奔放で飾り気がない。
     そして確固たる旅の目的がないというのもいい。

     雲が流れるようにふわふわっと行って、そこでいい人と出会って旅情にそそられるうち、ふとここに住み着いて今の生活を変えてみようかと思ったりするところがおもしろくもあり、憧れる。

     年ごとに膨れあがる都会への絶望と仕事への倦怠、それに対峙する田舎への郷愁がボクの心を旅先へ旅先へといざなう。

     でも現実は漫画や映画のようには動かない。
     テコでも動かぬ現実にあえぐ日々。

     そこから無理無理逃避して、旅先でその現実を想像溶解させては安堵し、あり得ない展開を創造しては驚いて、とそんな瞬間を楽しむだけ楽しむ。

     せいぜいその程度の慰安でボクは元通りになる。
     許してもらえる、受忍限度を超えない不良を知っている。

     やはり、つげ義春やフーテンの寅さんだって、自分自身の意を満たして落ち着き果てることはないのだ。

     だから終わらない旅。
     だからボクの旅も終わらない。

     さて、今度はどこにふらっと行ってみようか。




     旅先でこんなかわいい人がいたなら、そのまま居着いてしまうだろうなにひひ


    ともちゃんをさがしにいってみるか船


    旅先にひそんでいてもいいぞ。 カメレオンアーミーなら爆弾


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     食がどんどん進むときもあるが全然進まないときもある。筆がどんどん進むときもあるが全然進まないときもある。釣果ががんがん伸びるときもあれば全然伸びないときもある。お金ががんがん減るときもあれば全然減らないときも・ない。ありゃ、これはないのかかお

     過ぎたるは及ばざるがごとし。何事も中庸でありたい。
     スーツなどもどぶねずみ色と決めている。

     以前シマウマみたいなスーツを着ていたら、ライオンみたいな上司の目にとまりガォーと余計な仕事を回されたえっ 弱肉強食な所では保護色で静まりかえることだ。

     若い頃は脱スタンダードを掲げ天下御免(じゃない叫び)向こう傷もつくった。が、この年になって守りに入った。なんかあったらサッと引く。しんがりになったらえらいこった。

     とにかく勝ち組も負け組も同居する都会が息苦しい。
     ケイちゃんやアンナさんがいなければとっくに田舎にすっこんでるところだ。

     ほどほどの食で夏はそこそこ鮎を釣り、オフは小説やエッセイをのんびり書いたり読んだりで晴耕雨読に花鳥風月を楽しみたい。
     ガバチャ庵にはネットも引いてナウい隠棲を送りたいグッド!

     問題は酒だな。百薬の長と聞いて飲み続けたのが悪かった。
     果たしてこの酒に対して中庸の美学を適応できるか否か。

     う~ん、今夜もじっくりと飲みながらハムレットしてみるか。
     ボクのイノセントワールドを夢見てさかお





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     今日は節分だ。
     ガバチャの近くにも鬼はいる。

    「仕事の鬼」これは仕事に熱中している鬼でガバチャのことだ。・・・んなわけないかニコニコ
    「職場の鬼」これはみんなから敬遠されている鬼でどの職場にも一人や二人は配置されている。

     言葉はチョット言い方が違っただけで意味が全然違ってくるので各々方、いや、オニオニ方に対してのもの言いは気をつけよう。

     鬼に限って頭がいい。
    「おそろしく頭のきれる方」と持ち上げればいずれの鬼さんも喜ぶはずである。
     が、これを「おそろしく頭のきれた方」とやってしまうと、ホントに恐ろしく頭がキレてバリバリ喰われてしまうので要注意だ叫び

     もしも、職場の鬼を懐柔する魔法の豆があったなら、神様ひとつ恵んでくださいな~ラブラブ!グッド!


    ・


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     ボクに鮎釣りを教えてくれたおじいさんが逝って15年になる。

     最初、瀬で鮎竿を持たされ「掛っちゃあせんか」と言われ、上げたらピンピロとチビ鮎2匹が上がってきた。竿も重くこれはおもしろくない釣りだと続けなかった。

     ところがある日、川で子供らに水浴びをさせていたら、鮎釣り師が横に来て次々と鮎を掛ける。それも瀬でなく鏡のような水面でだ。

    「これは何ですか」と訊いてボクは鮎の泳がせ釣りを知った。
     長竿を自由自在に操って、次々とおとり鮎と野鮎をケンカさせて掛ける魔法の釣法。
     その日から泳がせ釣りが気になってしかたがないボクは、おじいさんに弟子入りし気がついたら鮎狂いの世捨て人になっていた。

     かの偉いニュートンさんは、地球上の物理現象を方程式で全て解きあかした。
     が「そもそも地球はなぜ回り始めたのですか?」と訊かれて困窮したという。

     ニュートンのやっと答えたコメントは「まず最初は神様が動かしました」でした。
     いわゆる神の一撃てやつです。

     夢の途中を彷徨う人にそもそもはなんだったんだと聞かれても困る。
     いろんなきっかけがあまたのごとくかすり去っていく世の中で、なぜ鮎だったのかと訊かれても答えようがない。

     泳がせ釣りのインパクトによって突然目覚めたDNA。これも神の一撃なのか。ボクの日常はありきたりの方程式では解き明かせないぐらいの複雑系に翻弄されている。
     
     だが、釣りだけに限らぬ、ある一撃らが、ボクの人生の一節一節(ひとふしひとふし)をつくってきたことだけは確かだドンッ





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