浩也は、電車に乗り込んでからも、古びた紙に書かれてある文字や図を解読しようとした。ミミズの這ったような文字は古典の教科書で見たような文字だ。
目を凝らすと「つむじ風」と「金銀宝」という文字だけが読み取れる。
帰宅した浩也はパソコンに向い、インターネットの検索サイトに「つむじ風」と「金銀宝」の文字を入力した。
すると「つむじ風剛右衛門(つむじかぜのこうえもん)の埋蔵金」という項目が検索された。
それによると、つむじ風剛右衛門(つむじかぜのこうえもん)とは江戸時代中期の人物で表の顔は廻船問屋、裏の顔は海賊と言い伝えられ詳しいことはわかっていない。晩年、隠し持っていた財宝を友が島に埋めたとされていた。
これまで盗掘を試みた者は、ことごとくつむじ風剛右衛門(つむじかぜのこうえもん)の呪いによって謎の死を遂げ、数十億円もの金銀宝は未だ手つかずのまま眠っているとのことだ。
そこまで読んだ浩也はパソコンを離れ呆然とした。
浩也にある推測が起こった。
この古い紙は宝のありかを示した古文書に違いない。
父は何らかのきっかけでこの古文書を手に入れ、宝の隠された場所に行く途中で不幸にあった。
その時、母が父の動きや古文書の存在を知っていたのかどうかはわからないが、今度は母が古文書を手にした。
スナック勤めを始めてから客の貴志隆三と言う男と知り合った。
隆三が潜水士だということを知った母は、隆三に近づき宝探しを持ちかけた。
そして、その最中に不幸にあった。
つむじ風剛右衛門(つむじかぜのこうえもん)の呪い、そんな非科学的なことがあるものかと思う一方で、浩也に言いようのない不安が広がった。
母が何処に何をしに行ったのかは、古文書に書かれてある内容がわかれば判然とする。 そして、それは十五年前の父の足取りとも一致するはずだ。
翌日の放課後、浩也は再び貴志勇一を訪ねた。
浩也はどんなことをしてでも、勇一の同意を取り付ける決意だった。確かめるには、船がなければ母の足取りはつかめない。
玄関先に立つ浩也を見て勇一は顔色を変えた。
「ま、またお前かぁ」
「相談したいことがあります」
「なんやとおっ」
この前の長髪とは打って変わって、短い茶髪にした勇一はいつか見た隆三とそっくりだった。
浩也は複雑な気持ちを払拭するように話を切り出した。
「あの日お母さんとあなたのお父さんが何をしに行ってたのかわったんです」
「なっ、なんてぇ!」
さすがに、勇一は驚いた顔で庭に出てきた。
「海の中に埋まった江戸時代の埋蔵金を探しに行っていたのです」
「はぁ、埋蔵金?」
勇一は表情を一転させると笑い声を上げた。押し黙る浩也の前で、勇一はひとしきり笑うと煙草に火をつけた。
「その場所にぼくを連れて行ってほしいのです」
「はぁ」
「私の母は見つかっていません。とにかくその場所に行きたいのです」
「お前年いくつや」
「高校二年です」
「お前テレビかマンガの見過ぎちやうか。だいたい海賊の小判なんて」
勇一は吸いかけた煙草を投げ捨てると、家の中に入ろうとした。
「本当なんです。つむじ風剛右衛門(かぜのこうえもん)って海賊が・・・・・・」
浩也が古文書を振りかざすと勇一の足がぴたりと止まった。
「お前今なんて言った」
勇一は口をあんぐりと開けて振り向くと近寄ってきた。
「はい?」
「お前今つむじかぜのなんとかって、その後なんて言った?」
勇一はゆるり接近すると浩也を見下ろした。タバコの臭いが浩也の鼻を刺す。
「こ、剛右衛門(こうえもん)です」
浩也はしかめっ面で答えた。
「んん、コウエモン、コーエマ。こ・う・え・も・ん。こーえま」
勇一は腕組みをして一人思案を始めた。
浩也には、勇一の仕草が何を意味するのかはわからなかったが、とにかく興味を持ってくれて良かったと思った。
「おい、お前その話ワイにもっとちゃんと話せ」
浩也は、古文書を見せながらインターネットで調べたことを話した。勇一が食い入るような目で聞き入る。
「で、こん紙どこにあったんやしょ?」
さっきまでの剣幕が別人のようだ。
「母のフリースのポケットです」
勇一は腕組みをして黙ると、何か考え込むように空に目を泳がせた。
何かある、と浩也は勇一の言葉を待った。しばらくして腕組みをほどいた勇一の目は意外なほど弱かった。
「実はな、ワイのお婆が出航する前に二人に会ってるんやしょ」
「えっ、それはどこで!」
浩也はうつむいた勇一の顔を食い入るようにのぞき込んだ。
「船着き場や。まあ偶々出会したんやけどな」
「母とはどんなことをしゃべったんですか?」
浩也が詰め寄ると、勇一は花壇の縁に腰を下ろした。
ガバチャのひとり言
和歌山市加太の町並み。以前このあたりにラーメン屋があったんだよな。
今はつぶれたのかありませんが・・。
面食いの・・・いゃ、麺食いのガバチャとしてはぜひ一度食べておきたかった。残念!!
この先の角を曲がって少し進むと一挙に紀淡海峡が開けます。そしてその先の峠に国民休暇村があってそこから見下ろす景色が絶景かな絶景かな。
眼下に友が島が横たわり四国も遠望できます。
夜は車でのデートスポットになります。
ボクも若い頃よく行きました。
えっ、誰とって?
それはミステリーにしておきましょう。
サスペンスじゃなくてミステリーね

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