初めてクルミを見たのは新築の家に入って間もない15年ほど前のこと。
 もちろんその頃はクルミなどという名前もなくただの野良猫だった。

 ある日玄関先の花壇に植えたパンジーがほじくり返されている。
 近寄ったら鼻をつく異臭。
 猫の小便の臭いに違いない。よく見るとかりんとうのような糞も転がっていた。

 ウサギ小屋のような城だが城主としては放っておけない。
 おっとり刀でホームセンターに行き猫が嫌う土を買ってまいた。ら、今度は玄関先のマットが襲撃された。

 にっくき野良猫め。ガバチャ様の恐ろしさを教えてやるむっ。
 とばかり、休日棒を持ってジッと窓外を見張った。待つこと2時間。来たなあれか。花壇の真ん中で土を蹴り上げている野良猫発見。

 ボクは棒を構えてそーっと窓を開けた。が、気づいた野良猫、キャッと身を翻して家裏の方に駆け出す。踵を返すボク。あそこやと、リビングに回って素早くサッシを開けた。

 野良猫の動きが一瞬止まる。間髪入れず棒を思いっきり振り下ろした。コーンッと乾いた音。頭に命中。ニャビィーと鈍い鳴き声で野良猫一目さん。

 にゃははにひひチョキ、これで懲りただろう。してやったりとあごをさすったがその後も襲撃はいっこうに収まらなかった。
 結局この野良猫による生物化学兵器とも言える大小の汚物によるテロ行為は10年以上も続行されたのだ。




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