いつだったかボクが若い頃、母と近所のおばさんたちが道ばたで突っ立って深刻なやりとりをしていた。
「たかぁたまぁるかちや、あの男しの方が悪いがぜよ」
「おまんまっこと、なんぼいうたちこれで結婚せんかったら世間がゆるすかよ」
と、土佐弁が炸裂している
村の、誰か若い者のうわさ話かと耳をダンボにした
ら、マッチとか明菜さんとか言っている。
よくよく聞いたら芸能界の近藤真彦と中森明菜の破局話だった。
以前、NHKの連続テレビ小説のおしんが、大根飯しか食べさせてもらっていなのを見て同情したお年寄りが「おしんに食べさせてあげてほしい」と、NHK放送局に米を送った出来事があった。
年を取るとテレビの中の出来事と実生活との境界が薄れてしまうのかもしれない。
と、ボクは母らのけたたましいやりとりを鼻で笑って家の中に引っ込んだ。
何気なくテレビをつけると、ちょうど中森明菜が歌を歌っている。
ふーん、「マッチと失恋したんだってねぇ」と、ボクは冷蔵庫からコーラを取り出しチビリとやった。
たかが恋なんて忘れればいい
ふむふむなかなか、歌い始めの台詞は明菜ちゃんらしいんじゃないか。
と、カルビーのかっぱえびせんをパリポリ。
明菜ちゃんはツッパリ出身だから大丈夫だよ。ははっ、うっ・・・グゲッ、は、鼻にーコーラが入って痛ぁーっ

さびしすぎてこわれそうなの
私は愛の難破船
やっぱり強がってても女の子なんだな。
うぅ~っ、まだ鼻の奥がジンジンするぜよ。
折れた翼 広げたまま
あなたの上に 落ちて行きたい
海の底へ 沈んだなら
泣きたいだけ 抱いて欲しい
ど、どうよ、これ。明菜ちゃんホントに泣いてるでしょうが
ほかの誰かを 愛したなら
追いかけては 行けない
みじめな恋つづけるより
別れの苦しさ えらぶわ
おっおい、マッチなんとかしろや
他の女にはしったんなら、お、俺が許さねえからな
。
おろかだよと 笑われても
あなたを追いかけ 抱きしめたい
つむじ風に身をまかせて
あなたを海に沈めたい
げっ、沈めるって、マジやべえよ、これ
たかが恋人を なくしただけで
何もかもが消えたわ
ひとりぼっち 誰もいない
私は愛の難破船
うぉー、涙が。うぉー、明菜ちゃんおれが慰めてやる。なんか、買ってやるよ。
まだ、鼻の奥痛ぁー
おい、マッチ。責任とれやっ。
てめー、よぉしっ、今からテレビ局に電話してやる。
で、電話帳どこやねん
と、ボクはいたたまれなくなって立ち上がった。
ら、外から母らの大きな笑い声が聞こえた。
「聖子ちゃんに、マイクみたいにつまみあげられたんやって・・あははぁ~」
話は下世話を極め極彩色のエロエロ談義となっていた
あれから三十年。
感情豊かなテレビっ子だったボクも五十を過ぎた。
久しぶりに明菜ちゃんを見たら、やっぱりウルルンル~ンと涙がにじみ出たのでごじゃる、よ~ん
明菜ちゃん、君はえらかった、よ
ガバチャが金メダルをあげよう
沈めて・・イイぞ
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「たかぁたまぁるかちや、あの男しの方が悪いがぜよ」
「おまんまっこと、なんぼいうたちこれで結婚せんかったら世間がゆるすかよ」
と、土佐弁が炸裂している

村の、誰か若い者のうわさ話かと耳をダンボにした

ら、マッチとか明菜さんとか言っている。
よくよく聞いたら芸能界の近藤真彦と中森明菜の破局話だった。
以前、NHKの連続テレビ小説のおしんが、大根飯しか食べさせてもらっていなのを見て同情したお年寄りが「おしんに食べさせてあげてほしい」と、NHK放送局に米を送った出来事があった。
年を取るとテレビの中の出来事と実生活との境界が薄れてしまうのかもしれない。
と、ボクは母らのけたたましいやりとりを鼻で笑って家の中に引っ込んだ。
何気なくテレビをつけると、ちょうど中森明菜が歌を歌っている。
ふーん、「マッチと失恋したんだってねぇ」と、ボクは冷蔵庫からコーラを取り出しチビリとやった。
たかが恋なんて忘れればいい
ふむふむなかなか、歌い始めの台詞は明菜ちゃんらしいんじゃないか。
と、カルビーのかっぱえびせんをパリポリ。
明菜ちゃんはツッパリ出身だから大丈夫だよ。ははっ、うっ・・・グゲッ、は、鼻にーコーラが入って痛ぁーっ


さびしすぎてこわれそうなの
私は愛の難破船
やっぱり強がってても女の子なんだな。
うぅ~っ、まだ鼻の奥がジンジンするぜよ。
折れた翼 広げたまま
あなたの上に 落ちて行きたい
海の底へ 沈んだなら
泣きたいだけ 抱いて欲しい
ど、どうよ、これ。明菜ちゃんホントに泣いてるでしょうが

ほかの誰かを 愛したなら
追いかけては 行けない
みじめな恋つづけるより
別れの苦しさ えらぶわ
おっおい、マッチなんとかしろや

他の女にはしったんなら、お、俺が許さねえからな
。おろかだよと 笑われても
あなたを追いかけ 抱きしめたい
つむじ風に身をまかせて
あなたを海に沈めたい
げっ、沈めるって、マジやべえよ、これ

たかが恋人を なくしただけで
何もかもが消えたわ
ひとりぼっち 誰もいない
私は愛の難破船
うぉー、涙が。うぉー、明菜ちゃんおれが慰めてやる。なんか、買ってやるよ。
まだ、鼻の奥痛ぁー

おい、マッチ。責任とれやっ。
てめー、よぉしっ、今からテレビ局に電話してやる。
で、電話帳どこやねん

と、ボクはいたたまれなくなって立ち上がった。
ら、外から母らの大きな笑い声が聞こえた。
「聖子ちゃんに、マイクみたいにつまみあげられたんやって・・あははぁ~」
話は下世話を極め極彩色のエロエロ談義となっていた

あれから三十年。
感情豊かなテレビっ子だったボクも五十を過ぎた。
久しぶりに明菜ちゃんを見たら、やっぱりウルルンル~ンと涙がにじみ出たのでごじゃる、よ~ん

明菜ちゃん、君はえらかった、よ

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ガバチャから幼なじみの二人へ
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- カテゴリ:
- ガバチャのエッセイ
幼なじみのT男とR子が結婚した。
ボクらは高知の山村のわずか24人のクラスだった。
結婚したのが昨年なので、50歳を過ぎて幼なじみ同士が結ばれたことになる。
この二人は小学生の頃からカップルだった。
きっかけはボクが冷やかして言いふらしただけのことなのだが。
中学を卒業するまで二人には何事もなかった、ようだ。
でも、意識をしあっていたのは間違いない。
ことある毎に、ボクやみんなから冷やかされて赤面していた。
高校に上がると、二人は離ればなれになった。
成人すると二人ともそれぞれの家庭を持ち、違う人生を歩んだ。
ここまでなら、どこにでもある話。
ところが、数年前の同窓会で異変が起こった。
T男がみんなの前ではばかることなく「離婚した」と言う。
すると、R子も「実はあたしも離婚してたの」と言う。
「昔のカップル同士独身になったんなら、いっそ結婚したらどうだ」
と、ボクの冷やかしにみんながドッと沸く。
これが現実となった。
自分にもある初恋の思い出。
いくつになっても色あせることのない想いにこの二人、どこでどう弾みがついたのか。
ゲスの勘ぐりのとどく範疇ではない。
スピード感のありすぎる世の中で、普遍的な心情が数十年もの歳月を経て結ばれた奇跡を心から喜びたい。
それにしても、人生とはわからないものである。
そして、人生とは自分で切り開こうと思えばどうにかなるものなのかもしれない、とも思った。
先週末、高知に帰郷して友人らと飲んだ。
T男とR子は、清流の傍らに小さな新居を構えて幸せに暮らしているという。
最近はT男とR子が仲良く竿を伸ばして鮎を釣っているらしい。
鮎釣り師のボクらと違って、二人だけがその晩食べる鮎が釣れたらいい。
春には山菜を採り、秋には満天の星空を眺め、冬にはこたつに丸まって・・・・・・爛熟の時間をしっかりと紡ぎ綯ってもらいたい。
結婚報告の際、R子がはにかみながらボクに言った言葉が胸を突く。
「あたし絶対に幸せになるから」
二人の結婚はボクの小学生の時の冷やかしから始まったのだ。
絶対に幸せになってもらわなくては、困る。
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ボクらは高知の山村のわずか24人のクラスだった。
結婚したのが昨年なので、50歳を過ぎて幼なじみ同士が結ばれたことになる。
この二人は小学生の頃からカップルだった。
きっかけはボクが冷やかして言いふらしただけのことなのだが。
中学を卒業するまで二人には何事もなかった、ようだ。
でも、意識をしあっていたのは間違いない。
ことある毎に、ボクやみんなから冷やかされて赤面していた。
高校に上がると、二人は離ればなれになった。
成人すると二人ともそれぞれの家庭を持ち、違う人生を歩んだ。
ここまでなら、どこにでもある話。
ところが、数年前の同窓会で異変が起こった。
T男がみんなの前ではばかることなく「離婚した」と言う。
すると、R子も「実はあたしも離婚してたの」と言う。
「昔のカップル同士独身になったんなら、いっそ結婚したらどうだ」
と、ボクの冷やかしにみんながドッと沸く。
これが現実となった。
自分にもある初恋の思い出。
いくつになっても色あせることのない想いにこの二人、どこでどう弾みがついたのか。
ゲスの勘ぐりのとどく範疇ではない。
スピード感のありすぎる世の中で、普遍的な心情が数十年もの歳月を経て結ばれた奇跡を心から喜びたい。
それにしても、人生とはわからないものである。
そして、人生とは自分で切り開こうと思えばどうにかなるものなのかもしれない、とも思った。
先週末、高知に帰郷して友人らと飲んだ。
T男とR子は、清流の傍らに小さな新居を構えて幸せに暮らしているという。
最近はT男とR子が仲良く竿を伸ばして鮎を釣っているらしい。
鮎釣り師のボクらと違って、二人だけがその晩食べる鮎が釣れたらいい。
春には山菜を採り、秋には満天の星空を眺め、冬にはこたつに丸まって・・・・・・爛熟の時間をしっかりと紡ぎ綯ってもらいたい。
結婚報告の際、R子がはにかみながらボクに言った言葉が胸を突く。
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