鮎釣り師ガバチャのひとり言

釣りあげた鮎で仲間と酒を飲む   これ人生のユートピア!


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     ボクが幼い頃の夏、キャンプに連れて行ってもらったことがあるお月見

     大人の男ばかり5、6人。みんな水中メガネでパンツ一丁になり、川に潜ってヤスで鮎を捕っていた。夕食が何だったかは覚えていないが、その時やった「鮎の味噌焼き」だけはありありと覚えている。

     まず、平らな石を焚き火の横であぶる。水滴をも一瞬で蒸発させるほどに熱くなったら横倒しにする。その上に惜しげもなく味噌を一袋練りだし丸い土手をつくったらその中に鮎を落とし込む。

     鮎は一瞬で白色し身がほぐれる。立て続けに塩、砂糖、酒、醤油、近くに生えていた行者のニンニクをちぎってぶち込み、箸でかき混ぜる。味噌の焦げた香ばしい匂い、ホクホクの鮎の味噌焼きのできあがりだ。

     ほれ、とおじいさんがボクによそってくれた。
     酒が入るのを見ていたボクは恐る恐るそれを口にした。
     ん、うま~いっ! ボクのリアクションに大人達が笑うラブラブ!
     ボクは夢中で食べた。

     夕餉が盛り上がると、あるおじさんがボクをつかまえて英語を教えるという。
     まんじゅうは「オスト アンデ~ル」と流ちょうに発音。じゃあ「エンピツは」と訊くと「トグト シンデ~ル」だと。

     今、そのおじさんらと同じ年になったボクが、コテコテのオヤジギャグ師になったのは、その時の英才教育のせいではないかと思うのだが。




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     一昨日の晩、飲みに行ってて外人の女性二人とすれ違った。外人の女性と言ってもゆうに70は過ぎたお年寄りだ。
     外人は年寄りの女性でも背が高いなーと思ってたら「ヘイ、ボーイ」と呼び止められた。

    「なんすか」と振り向いたら「ヘイボーイ、キャユースピークイングリッ」と言う。ボクはとっさに「え、いやぁ ジャ、ジャパニーズ オッケー ノ~イングリッシュ」と返した。

    「オー、ボーイ」と両手を広げて見下ろす女性。目を丸めて今度は「オサケェ」を連発する。
    「オサケェ?」むっ
     やな思い出がフラッシュバックした。実はボクには「オサケェ」のトラウマがある。

     20年前のことだ。飲んだ帰り阪神電車で隣の若い外人女性に「なんじゃらかんじゃらオサケェ」と言われ、てっきり「あんたお酒くさいよ」と言われたと思い「イエスタディ、トゥディ、オサケ」と言い返した。

     そしたら「ノーッ」と両手を広げる。
     近くの人が流ちょうに応対し、どうやら「オサケェ」は「大阪」のことだったようだ。「この電車は大阪に行きますか?」とボクに訊いたらしい。
     ボクは乗客から笑われ赤っ恥をかいた。

     このお年寄りらもまた、大阪のことだなと思った。ら、二人そろってグラスをあおるゼスチャーだ。今度こそ間違いなく酒だ。これで大阪だったらコケルゼと、ボクも同じゼスチャーで「オ・サ・ケ」ね、と返した。「オーイェスイェス」と二人が笑う。

     ボクは目の前にあった「がんこ寿司」の看板をさして「ヘィ、ガンコガンコ。オサケ ガンコにアリィマース」と言った。
    「オーノー、オンリーオンリー」と外人さん。
    「え、オンリー。オー だけ ネェ だけ」とボク。
    「ダケェ? ノーノー、オンリーオンリー」と外人さん首をかしげる。

     もぉわけわからんわと、あきらめたボクが両手を広げ「ヤッパ ワカリマシェ~ン」とカタコトで言うと「オー、ボーイ オー、バイバイ センキュー ねー」って、おいちょちょちょっと、最後確かに「ねー」って言ったぞ! 

     それに二人ともほろ酔いみたいだったし。なんか、ただ遊びいじられただけ、みたいな感じだったよなシラー

     と、ガンコ寿司の鉢巻きおやじを見たらキュッと結んだ口元がかすかに笑っているように見えた。
     ボクはオーノ~と小さくひとり言を言って、また盛り場をふらふらと歩いた。
     




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