釣行の道中はルンルン気分で、今日はあの場所のあのポイントに入りたい、などと思いを巡らせるものである。
しかし、現地に着くとすでに先行者がおり、あきらめて別の場所を探さざるを得なくなる場合が多々ある。
「ああもう少し早起きしておけばよかった」
などと思っても後のフェスティバルとなる。
しかし、とあるチョイ悪鮎師から
「そのような場合でも、どうしても自分の入りたいポイントで釣りたければ平和的に遂行できる秘策があるゼ」
して、その秘策とは……。
まず河原におりると、比較的空いている場所を選定し、いつもどおり釣りを始める……ふりをする。
キョロキョロせず鷹揚にヒキブネからたも網におとり鮎を移す。
この場合一匹ではなく二匹を移す。
一匹にはいつも通り鼻カンを通す。
そしてもう一匹のおとり鮎には背中に外れないようにしっかりグッサリとイカリバリを刺す。
何食わぬ顔で二匹を川に放つ。
頃合いを見計らうといかにも野鮎がヒットしたかのようなオーラを発しながら、タモキャッチをする。
これをただ延々と繰り返す。
コツは手返しである。早すぎてはいけない。
出来ればモゾモゾといかにも野鮎を掛けた風にヒキブネなど寄せたりしながらやる。
やがて周囲からの注目を集め始めるとイヨイヨその演技に磨きをかける。
周りの釣り人らはそのポイントが気になって仕方なくなり徐々に寄って来る。
自分の入りたいと思っていたポイントで釣っていた者も、そのポイントがそこそこ釣れていたとしても、遠方で切れ目なく連チャンで引き抜かれたらたまっちゃもんじゃない。
ってな感じで、そのポイントをあきらめてこちらに向かってくるはずである。
その瞬間を逃さない。
サカッと素早く撤収すると自分が釣りたいと思っていたポイントに直行する。
さっきまで自分の入りたいと思っていたポイントで釣っていた者とすれ違いざま、会釈も忘れない。
その釣り人から
「もぅあの場所はよろしいんですか?」
そんなことを訊かれても「ええもう十分ですワ」
とさりげなく答えて小走りする。
「私はただ引き抜きの練習をしていたのだ。カモフラージュをしていたわけではない」
などとことさら自分に思言い聞かせながら、いささかなる良心の呵責をチョンと吹き飛ばしてダッシュする。
これで自分の入りたいポイントゲーツッ!
となる。
サーテと、おとり鮎を入れてみるとさっきまでまあまあ釣れていたそのポイントがスカンチョンで全く掛からない。
気になって、さっき自分が「カモフラ釣法」をやっていた場所に目をやると
なぬっ!|д゚)
竿が曲がっているではないか。
ありゃりゃ!|д゚)
またまた曲がっているではないかっー!
クッソーッ。
一時間経過……。
せっかくゲットしたそのポイント全く釣れず。ピクリもなし。
そう、あくまでもこれは自分がどうしても入りたいと思っていたポイントに入る方法なのである。
それで、釣れるかどうかはあなたの腕次第ということになる。
どのような場合でも釣果を上げるためには、まず自分の腕前を磨く以外に方法はないのだ。
ちなみにそのチョイ悪鮎師は、スゴ腕で名の通った隠れトーナメンターなのでした。
つまり
鮎釣りにかぎらず
何事も真摯であれ
真面目であれ
本気でやれ
それに尽きる!
わかったな・・・
お前ら
今日は
ウルトラマンは有給休暇だぞ
えっ?
マジっすか! 来ねえの?

