と上機嫌の加藤さんはまた冷酒を美味しそうにあおった。
ボクはすぐに加藤さんの家を訪ねた。さすがに年老いていたが、グリッと開いた目は昔のままだった。
とボクは返した。
「今晩うちに泊まっていけ。おまはんにちょっと話したいことがあるんや」
と加藤さんがボクの手を引く。その時の表情が少し暗かったのが気になったが、ボクは遠慮してまた来るからと断った。
「これ買ったんやけど足が悪うなって鮎釣りでけんようになったから、おまはんにやる。今度これ着て船戸橋の下で釣れ」
と言われた。
「はい。加藤さんの代わりにバンバン釣らせてもらいます」
とボクが声を上げると加藤さんは顔をくしゃくしゃにして喜んだ。
了



