鮎釣り師ガバチャのひとり言

釣りあげた鮎で仲間と酒を飲む   これ人生のユートピア!


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     奈良の大仏様。
     直ぐそばの柱の穴を通り抜けると幸せになれるという。
     この穴を通り抜けようとしたおばさんが途中で引っかかって皆に引っ張り出されたという話を聞いたことがある。

     ところ変わって香川県の高松市。
     ボクが友人のS君の実家に遊びに行った時の話だ。

     特に見るところもないが近くに神社があると言うので行ってみた。そこに石でできた大仏様の柱と似たようなものがあった。
     やな予感ガーン

    「久しぶりに抜けてみるか」とS君ニタリ。
     ボクはS君の太鼓腹を見てとがめたが、S君ためらうことなく腹這いになって四角い穴に頭から突入。

     芋虫のようにモゾモゾはいずる。うなりながらなんとかお腹の所まで突入した時、ぴたりと動きが止まった
     ヒィ~とS君。息はできるかと訊くとウンとだけ答える。うつむいたまま顔も回せない。

     ボクはS君のジャンパーを脱がそうとした。が、知恵の輪みたいになってよけい変になる。足の方から引っ張るもビクともしない。反対に回ってバンザイ状態の両手をちぎれるぐらい引っ張ると、うわぁっと言ってチョット動いた。が、今度はベルトの所に引っかかって止まった。

     なんかの拷問のようにS君の顔がゆがむ
     慌ててボクはS君のベルトを緩めズボンを脱がせた。ボクはS君の両手を渾身の力で引っ張った。

    「う~ん、しあわせにぃ、しあわせにぃ~いーっ」
     と言いながらボクもS君も半泣きだ。
     無理矢理、何とかかんとか抜けた。

     息を切ってへちゃりこむボク。下半身泥だらけのパンツ一丁でうなだれるS君しょぼん
     一種の荒行を終えたような脱力感の中、人生そう易々と幸せはゲットできないと力尽きたS君を慰めた。





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     鮎釣り師らしく「ええ、天竜川で巨鮎と格闘して折っちまいましてね」
     などと豪快にうそぶく事もできぬ冬、あばら骨を痛めたことがある。

     神戸出張でしこたま飲んだ翌朝のホテル浴室でのこと。
     二日酔いでぼーっとシャワーを浴びていたら、湯がちょっとぬるかったので蛇口をチョイとひねった。

     と、いきなりシャワーが熱湯に!メラメラ
     ゥワヂャ~と目をむいて体をびちらせ湯船から脱出しようとしたら、ジャンプ力が足らずつま先が湯船の縁に引っかかり、そこを支点に洋式便器に胸から激突した。

     息が止まったドクロ
     丸裸で悶絶。
     死ぬ時も生まれたままの姿だなんて、自分らしい最期だけどちょっと恥ずかしいぜと走馬燈のように40年の人生が脳裏を駆けた。
     生んでくれてお母さんありがとう、と心の中で言ったら息がつながった。

     チュルルルとけたたましい電話のベル。
     床に爪を立てて丸裸ではいずって受話器を取る。

     「お客様、火災報知器が点灯してますが大丈夫ですか」とフロント。
     「べ・ぇ~、ちょっど、じゃわーのゆげが、べやに・・・・・・」
     満身で声を絞りなんとかやり過ごした。が、たぶんゾンビみたいに白目だけになっていたと思う。

     丸裸で布団に潜りチェックアウトぎりぎりまであばら骨をさすって耐えた。
     帰り、フロントで「お客さま大丈夫でしたか」と再び聞かれたが「べ・ぇ~」としか答えられなかった。

     医者に直行。
     あばら骨にひびが入っていた。
     治るまで笑う度にあばらを押さえてヒーヒー悲鳴を上げた。
     
     人生には坂が三つあるという。
     上り坂、下り坂、そして三つ目のさかがまさかだと。
     こんなうまいことを言ったのが誰だったかは覚えていないが、オフに下手をうつと鮎釣り師は何の言い訳もきかないという教訓を、まさかシャワーから教えられるとは夢にも思わなかった



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